聖地は秋葉原にあり



筆者は東京秋葉原のトンカツ屋「丸五」を甚だ愛好しております。このブログのランキングでも上の中という高ランク。上の上でない理由は「しょっちゅう食べに行けないから」という理由にすらなっていないものです。この丸五、多くの愛好家のブログに登場しておりますが、そう言った文章の中でよく見かけるのが「特ロースカツ定食こそ丸五の本領」という意味の文章です。

筆者がこのランキングの対象にしているのは実は「特」が付かない方のロースカツ定食で、それは単純に価格的な問題です(だいたい1,300円前後の価格帯を中心にランキングしているのです)。とは言えこの点についてはいずれ検証しなければと思っていたのですが、折良く偶々東京に赴く用事が入りました。これはもう天の配剤。わざわざ秋葉原に立ち寄って特ロースカツ定食を食べることにしました。お店は最近改装工事を行いましたが、あの小気味よく狭かった店内は不変。安心してカウンター席に座り特ロースカツ定食を注文しました。もちろん腹具合は万全。正に餓死寸前であります。

特に混んでいるわけでもなかったのに少々待たされます。5年ぶりくらいになる店内をしばし観察。以前と変わった点は机上に梅干しだけでなくらっきょうも置かれるようになったこと。またミルに入った岩塩も置いてあります。これが記憶にありません。当然塩でも食べてみることにします。

ようやく登場。味噌汁もごはんも本当に上等。漬け物も添え物ではなくちゃんと量もたくさんあります。肝心の特ロースは?極厚。1.5cmはありそうです。それにきれいに火が通っている。キャベツにはサウザンアイランドドレッシングをかけ、トンカツには特製ソースをかけますが端の一切れだけは塩用にソースをかけずにおきます。

さて一口。ソースの酸味が非常に心地良い。肉も厚みの割りにスッとかみ切れます。ここで上等のご飯と味噌汁が最高のサポート。たまりません。でも今日はいつものように猛然と食べ進めるのではなく、色々考えながら食べます。塩で食べるのも当然おいしいのですが、肉の力量の方が勝る感じがあります。従って醤油か店の特製ソースで食べるのがベストでしょう。

ご飯を当然おかわり。この時に確信したのですが、丸五は低い温度の油で揚げているようです。その証拠に揚げたてを口に頬張ってもヤケドをするようなことはありません。厚い肉に時間をかけて火を通しているようです。なるほど、待たされるわけです。

赤出汁の味噌汁、酸味のあるフルーティーな特製ソース、おいしいご飯とぬか漬け。旨い肉と適度な粗さのパン粉。食べ終わって陶然。これはもはやすでにアートの域でしょう。例えば上等な大吟醸を飲み干した時に脳みそが思考停止するようなあの感じ。ぎりぎりまでに余計なものを削ぎ落として、あるべきものを最上に磨き上げる。この定食が2,150円(特ロースかつ1,750円、セット400円)でも決して高いとは思いません。

そして全く胃もたれしません。確かに丸五でトンカツを食べるなら「特」メニューにするべきでしょう。本ランキングも満場一致で上の上へ変更させていただきます。丸五はトンカツ愛好家にとって「聖地」と言えます。

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